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    <charconv>

    charconv

    <charconv>ヘッダでは、ロケール依存なし、フォーマット解析なしの高速な文字列・数値変換を提供する。

    これらの変換は以下のような特徴がある。

    • フォーマットは引数で指定し、入力値のフォーマットを実行時に解析することはない
    • 動的にメモリ確保を行わない
    • ロケールを考慮しない(Cロケール (POSIXロケール) 固定)
    • バッファオーバーランしない
    • 例外を投げない(エラーは戻り値で表現、エラーと有効値は区別可能)
    • 使用可能なフォーマットは最小限
      • スペースが現れた場合はそこで変換終了
      • 浮動小数点数の指数部以外の+符号は考慮されない
      • #による小数点以下の桁数指定はできない
      • 16進数に0xは付けられない

    文字列 ⇔ 数値変換関数

    名前 説明 対応バージョン
    to_chars 数値 → 文字列の変換 C++17
    from_chars 文字列 → 数値の変換 C++17

    クラス

    名前 説明 対応バージョン
    chars_format 変換時の浮動小数点フォーマット指定のための列挙体 C++17
    to_chars_result to_charsの結果型 C++17
    from_chars_result from_charsの結果型 C++17

    導入された経緯

    XMLやJSONに代表されるテキストベースのデータを利用するケースが増えており、C++においてそれを利用するケースも増加している。 それらは多くの場合コンピュータによって生成されコンピュータによって読まれるため国際化対応の必要がなく、生成する側でも読む側でもロケールに非依存であり、考慮するべきではない。
    そして、これらのデータは多くの場合通信に利用されており高いスループットを要求される。

    しかし、C++17未満の環境で利用可能であった文字列変換法はいずれもロケールに依存しておりロケール非依存な変換が提供されていなかったうえに、いずれの方法も動的なフォーマットの解析・指定や動的メモリ確保、エラー報告の不足等何かしら使いにくい所があった。
    動的なフォーマット解析はコンパイル時のフォーマットチェック及び選択を妨げ、(iostreamのマニピュレータのような)動的なフォーマット指定はその状態のスレッド間共有が必要になるため好ましくなく、動的メモリ確保を行わず変換エラーは区別できることが望ましい。

    また、浮動小数点数を10進文字列→2進浮動小数点数→10進文字列と変換した時に最初と最後の文字列が一致する保証がある変換方法も提供されていなかった。

    各変換方法とその問題点

    関数 欠点
    sprintf ロケール依存、フォーマットの動的解析、バッファオーバーランの危険性
    snprintf ロケール依存、フォーマットの動的解析
    sscanf ロケール依存、フォーマットの動的解析
    atol ロケール依存、エラー報告の不足
    strtol ロケール依存、先頭ホワイトスペースの無視、接頭辞(0x等)を考慮する
    strstream ロケール依存、先頭ホワイトスペースの無視
    stringstream ロケール依存、先頭ホワイトスペースの無視、動的メモリ確保
    num_put / num_get facets ロケール依存、仮想関数
    to_string ロケール依存、動的メモリ確保
    stoi ロケール依存、動的メモリ確保、先頭ホワイトスペースの無視、接頭辞(0x等)を考慮する、例外の送出

    これらの問題がなく高速な文字列・数値変換を提供するために、本ヘッダ及びto_chars, from_chars関数が導入された。各関数の特徴は冒頭及び個別のページを参照のこと。

    バージョン

    言語

    • C++17

    処理系

    • Clang: 7.0(整数のみ) , 14.0(to_chars()のみ浮動小数点もsupport)
    • GCC: 8.0(整数のみ) , 11.1(full support)
    • Visual C++: 2017 update 7(整数のみ) , update 9(full support)

    参照