このページはC++26に採用される見込みの言語機能の変更を解説しています。
のちのC++規格でさらに変更される場合があるため関連項目を参照してください。
概要
文字列リテラルは、文字配列の初期化だけでなく、コンパイル時の診断メッセージやプリプロセッシング、その他の実装定義の動作にも使用される。これらのコンパイル時にのみ使用される文字列は「非評価文字列 (unevaluated string)」と呼ばれ、実行時のエンコーディングに変換されることはない。
C++26では、非評価文字列が使用される文脈を明確にし、これらの文字列に対して以下の制約を設ける:
- エンコーディングプレフィックス (
L,u,U,u8) は許可されない - 文字列は実行時エンコーディングに変換されない
- ユニバーサルキャラクタ名および (単純な) エスケープシーケンス (
\0を除く) はUnicodeコードポイントに置換され、数値エスケープシーケンスなどその他のエスケープシーケンスは不適格となる
これらの変更は既存コードとの互換性を崩す変更 (破壊的変更) ではあるが、オープンソースプロジェクトの調査では、既存コードへの影響はほぼないとされている。
非評価文字列が使用される文脈
| 文脈 | 説明 |
|---|---|
static_assert |
表明失敗時の診断メッセージ |
[[deprecated]] |
非推奨の理由メッセージ |
[[nodiscard]] |
戻り値無視時の警告メッセージ |
= delete |
削除された関数の診断メッセージ |
extern |
リンケージ指定の文字列 (例: extern "C") |
_Pragma |
プリプロセッサプラグマの文字列 |
asm |
インラインアセンブリの文字列 |
#line |
行番号ディレクティブのファイル名 |
| リテラル演算子 | ユーザー定義リテラルの接尾辞識別 |
仕様
エンコーディングプレフィックスの禁止
非評価文字列には、エンコーディングプレフィックスを指定できない。
// C++23まで: 実装定義の動作
// C++26: 不適格
static_assert(true, L"message");
static_assert(true, u8"message");
// C++26: OK
static_assert(true, "message");
エスケープシーケンスの制限
非評価文字列では、ユニバーサルキャラクタ名 (\uNNNN, \UNNNNNNNN) と (単純な) エスケープシーケンス (\\, \", \nなど。ただし\0を除く) のみが許可される。数値エスケープシーケンス (\x1B, \012など) は不適格となる。
// C++26: OK
static_assert(true, "hello\nworld"); // エスケープシーケンス
static_assert(true, "\u0041"); // ユニバーサルキャラクタ名
// C++26: 不適格 (数値エスケープシーケンス)
static_assert(true, "\x48\x65\x6c\x6c\x6f");
これは、コンパイラが非評価文字列を実行時エンコーディングに変換しないため、数値エスケープシーケンスによるコードユニットの直接指定が意味を持たないためである。
関連項目
- C++11
constexpr - C++11 コンパイル時アサート
- C++14
[[deprecated]]属性 - C++17
[[nodiscard]]属性 - C++26 文字列リテラルの文字エンコーディング失敗を不適格とする
- C++26
static_assertの診断メッセージにユーザーが生成した文字列の指定を許可