namespace std {
template <class ForwardIterator>
constexpr ForwardIterator
shift_right(ForwardIterator first,
ForwardIterator last,
typename iterator_traits<ForwardIterator>::difference_type n); // (1)
template <class ExecutionPolicy, class ForwardIterator>
ForwardIterator
shift_right(ExecutionPolicy&& exec,
ForwardIterator first,
ForwardIterator last,
typename iterator_traits<ForwardIterator>::difference_type n); // (2)
}
概要
イテレータ範囲[first, last)
の要素をn個だけ右にシフトさせる。
この関数に符号付き整数型のシフト数として、0および負数を指定した場合はなにもしない。
この関数によって要素をn個だけ右にシフトすると、[first, first + n)
の範囲は、ムーブされたあとの「使用してはいけないオブジェクト」となる。その範囲には、循環バッファ (circular buffer) のように新たな要素を代入するか、コンテナのerase()
メンバ関数を使用して使わなくなった範囲を削除するなどの対応が必要になる。
テンプレートパラメータ制約
*first
の型がムーブ代入可能であることForwardIterator
型が、Bidirectional Iteratorの要件もしくはValueSwappableの要件を満たすこと
事前条件
n >= 0
効果
n == 0
である場合、なにもしないn >= last - first
である場合、なにもしないi < (last - first) - n
である非負の各i
について、first + i
位置の要素をfirst + n + i
位置にムーブする- (1)では、
ForwardIterator
型がBidirectional Iteratorの要件を満たす場合は、i = (last - first) - n - 1
からi = 0
の順に処理する
- (1)では、
戻り値
n < last - first
である場合、first + n
を返す- そうでなければ、
last
を返す
計算量
最大で(last - first) - n
回の代入もしくはswap操作を行う
備考
- シフト数として負数を指定することはできないが、この関数には符号付き整数型を指定することとなっている。これは、Bidirectional Iterator向けの最適化した実装をする場合に
std::prev()
関数を使用するため、そちらのパラメータ型と合わせたことによる shift_left()
とshift_right()
で関数が分かれているのは、コンパイルしたコードサイズを小さくするためと、左シフトと右シフトでは最大パフォーマンスのための実装が異なるためである
例
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
int main()
{
std::vector<int> v = {1, 2, 3, 4, 5};
std::shift_right(v.begin(), v.end(), 2);
for (int x : v) {
std::cout << x << ',';
}
std::cout << std::endl;
}
出力
1,2,1,2,3,
バージョン
言語
- C++20
処理系
- Clang:
- GCC:
- Visual C++: ??