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macro
<cfenv>

FE_TONEAREST(C++11)

# define FE_TONEAREST implementation-defined

概要

浮動小数点数の丸め方式として、「最も近い値への丸め (round to nearest)」を表すマクロ。

この丸め方式は、最も近い整数方向に対して丸める。中間値 (0.5) の場合にどちらの方向に丸められるかは、はIEC 60559 (IEEE 754) の推奨方式によって決まる。

このマクロは、標準ライブラリの丸め処理で使用される丸め方式をユーザーが選択するために使用する。

このマクロの値は、整数の定数式として定義され、非負の値を持つ。

備考

FE_TONEARESTは実装として、以下がありえる:

  1. 中間値の場合に、偶数方向へ丸める (「最近接偶数への丸め」「to nearest, ties to even」「JIS丸め」「ISO丸め」「bankers’ rounding」)
  2. 中間値の場合に、ゼロから遠い方向へ丸める (「四捨五入」「to nearest, ties away from zero」)

標準C++の規格では、この動作はIEC 60559 (IEEE 754) にゆだねている。そして、IEC 60559では、デフォルトが1. の「偶数方向への丸め」となっている (実装に推奨されている)。そのため、IEC 60559の推奨に従っている処理系では、FE_TONEARESTの動作は「最近接偶数への丸め」となるだろう。

#include <iostream>
#include <cfenv>
#include <cmath>

int main()
{
  std::fesetround(FE_TONEAREST);

  float ar[] = {
      2.0,  2.1,  2.5,  2.9,
     -2.0, -2.1, -2.5, -2.9
  };

  for (float f : ar) {
    int x = std::nearbyint(f);
    std::cout << f << " -> " << x << std::endl;
  }
}

出力

2 -> 2
2.1 -> 2
2.5 -> 2
2.9 -> 3
-2 -> -2
-2.1 -> -2
-2.5 -> -2
-2.9 -> -3

バージョン

言語

  • C++11

処理系

  • Clang: 3.0
  • GCC: 4.3.0
  • ICC: ??
  • Visual C++: 2013, 2015
    • コンパイルオプション/fp:strictまたは#pragma fenv_access (on)が必要。さもなくば、正しく動作しないおそれがある。