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function
<flat_map>

std::flat_map::lower_bound(C++23)

iterator lower_bound(const key_type& x);             // (1) C++23

template <class K>
iterator lower_bound(const K& x);                    // (2) C++23

const_iterator lower_bound(const key_type& x) const; // (3) C++23

template <class K>
const_iterator lower_bound(const K& x) const;        // (4) C++23

概要

x を右辺とする < 演算が成り立たない最初の要素を指すイテレータを返す(コンテナの比較オブジェクトが使われる)。すなわちこれは >= 演算にあたる。

upper_bound() とは異なり、このメンバ関数は x より大きいだけでなく、x と等しい場合であってもその要素へのイテレータを返す。

内部的には flat_map コンテナ内の全ての要素は常に比較オブジェクトが定義する基準に沿って並んでいるため、この関数が返すいずれかの後に続く全ての要素が x より大きいか等しいことに注意。

  • (1) : key_type型のキーを受け取り、そのキーより小さくない最初の要素へのイテレータを取得する。
  • (2) : key_typeと比較可能なK型のキーを受け取り、そのキーより小さくない最初の要素へのイテレータを取得する。
  • (3) : const*thisオブジェクトにおいて、key_type型のキーを受け取り、そのキーより小さくない最初の要素へのイテレータを取得する。
  • (4) : const*thisオブジェクトにおいて、key_typeと比較可能なK型のキーを受け取り、そのキーより小さくない最初の要素へのイテレータを取得する。

戻り値

  • (1), (3) : コンテナ内で x を右辺とする < 演算が成り立たない最初の要素へのイテレータを返す。そのような要素がない場合は、end()を返す。
  • (2), (4) : key_compare型の関数オブジェクトをc、コンテナ内の各要素が持つキーをkとして、キーが小さくないか判定する式!c(k, x)trueとなる要素へのイテレータを返す。そのような要素がない場合は、end() を返す。

計算量

size() について対数時間。

備考

#include <iostream>
#include <string>
#include <flat_map>

int main()
{
  // (1)
  {
    std::flat_map<std::string, int> fm = {
      {"A", 3},
      {"B", 1},
      {"C", 4},
      {"D", 5}
    };

    // B以上D以下の範囲を取得
    decltype(fm)::iterator it = fm.lower_bound("B");
    decltype(fm)::iterator last = fm.upper_bound("D");

    while (it != last) {
      std::cout << it->first << ',' << it->second << std::endl;
      ++it;
    }
    std::cout << std::endl;
  }

  // (2)
  {
    std::flat_map<std::string, int, std::less<>> fm = {
      {"A", 3},
      {"B", 1},
      {"C", 4},
      {"D", 5}
    };

    // std::lessのvoidに対する特殊化を使用することで、
    // 文字列リテラルをlower_bound()関数の引数として渡した際に、
    // std::string型の一時オブジェクトが生成されない。
    decltype(fm)::iterator it = fm.lower_bound("B");
    decltype(fm)::iterator last = fm.upper_bound("D");

    while (it != last) {
      std::cout << it->first << "," << it->second << std::endl;
      ++it;
    }
  }
}

出力

B,1
C,4
D,5

B,1
C,4
D,5

関連項目

名前 説明
upper_bound 特定の値よりも大きい最初の要素へのイテレータを返す
equal_range 指定したキーにマッチする要素範囲を返す
find 指定したキーで要素を探す
count 指定したキーにマッチする要素の数を返す