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function template
<functional>

std::bind_front(C++20)

namespace std {
  template <class F, class... Args>
  constexpr unspecified bind_front(F&&, Args&&...);
}

概要

関数の引数を先頭から順に部分適用する。

この関数は、メンバ関数とレシーバー (*this) を束縛して持ち運び、引数をあとで渡して呼び出す、というユースケースで使用する。そのようなケースでは、const性の伝播が難しいラムダ式やstd::bind()よりも容易になる。

using namespace std::placeholders;

// 4引数をもつメンバ関数Strategy::process
struct Strategy { double process(std::string, std::string, double, double); };

// 1. ラムダ式の場合、非constメンバ関数を呼び出すためにmutableを付けなければならないため、
// シンプルなメンバ関数のラップができない。
// コーナーケースとしては、decltype(auto)の考慮もときに必要になる
auto f1 = [s = Strategy{}] (auto&&... args) mutable {
  return s.process(std::forward<decltype(args)>(args)...);
};

// 2. std::bind()の場合、引数の数をユーザーが知っており、
// プレースホルダーを適切に設定しなければならない
auto f2 = std::bind(&Strategy::process, Strategy{}, _1, _2, _3, _4);

// 3. std::bind_front()の場合、const性の伝播が自動的に行われ、
// プレースホルダーを指定する必要がない
auto f3 = bind_front(&Strategy::process, Strategy{});

ただし、この関数はメンバ関数とレシーバーを受け取る専用にはなっておらず、「引数を先頭から順に束縛する」という汎用的な機能になっているため、「メンバ関数ポインタのみを束縛」「関数と引数の一部を束縛」といった利用もできる。

テンプレートパラメータ制約

decay_t<F>を適用した型をFDstd::unwrap_ref_decay<Args>...を適用した型パラメータパックをBoundArgsであるとして、

適格要件

戻り値

std::invoke()の呼び出しにおける引数の先頭一部fargs...を完全転送して保持し、残しの引数リストを渡すことで関数オブジェクトfを呼び出せる未規定の関数オブジェクトを返す。

例外

  • 関数オブジェクトfのムーブによって任意の例外が送出される可能性がある

#include <iostream>
#include <functional>

struct X {
  void f(int a, int b, int c) {
    std::cout << a << ',' << b << ',' << c << std::endl;
  }
};

void g(int a, int b, int c) {
  std::cout << a << ',' << b << ',' << c << std::endl;
}

int main() {
  {
    // メンバ関数ポインタと*thisを束縛する
    X x;
    auto f = std::bind_front(&X::f, x);

    // メンバ関数の引数を渡して呼び出す
    f(1, 2, 3);
  }

  // 「メンバ関数ポインタと*thisの束縛」という機能に限定されてはおらず、
  // 先頭から順に束縛できる (関数オブジェクトの指定だけは必須)
  {
    X x;
    std::bind_front(&X::f)(x, 1, 2, 3);
    std::bind_front(&X::f, x, 1)(2, 3);

    std::bind_front(g)(1, 2, 3);
    std::bind_front(g, 1)(2, 3);
  }
}

出力

1,2,3
1,2,3
1,2,3
1,2,3
1,2,3

バージョン

言語

  • C++20

処理系

参照