std::mdspan(C++23)

namespace std {
  template<
    class ElementType,
    class Extents,
    class LayoutPolicy = layout_right,
    class AccessorPolicy = default_accessor<ElementType>>
  class mdspan;
}

概要

mdspanは、任意のメモリブロックに対して多次元配列のようにアクセスする機能を提供するクラスである。 mdspanそれ自体は参照先メモリブロックを所有せず、[]演算子を介して多次元配列のように見せかけるビュー(view)にすぎない。

クラスの名称mdspanは、1次元の範囲std::spanに対する多次元(MultiDimentional)拡張に由来する。

mdspanの特殊化MDSはcopyableのモデルであり、かつ

• is_nothrow_move_constructible_v<MDS>がtrue、かつ
• is_nothrow_move_assignable_v<MDS>がtrue、かつ
• is_nothrow_swappable_v<MDS>がtrueとなる。

そのメンバ型accessor_type, mapping_type, pointerがトリビアルコピー可能であるとき、mdspanの特殊化もトリビアルコピー可能である。

テンプレートパラメータ

mdspanクラスでは、テンプレートパラメータを介して多次元配列ビューをカスタマイズできる。

• ElementType : 多次元配列ビューの要素型
• Extents : 多次元配列の次元数(rank)と要素数(extent)
• LayoutPolicy : 多次元配列インデクスと要素位置の対応関係
• AccessorPolicy : 要素アクセス時の詳細挙動

説明専用メンバ変数

mdspanクラスは、下記の説明専用メンバ変数を保持する。

• acc_ : accessor_type型の要素アクセサ
• map_ : mapping_type型のレイアウトマッピング
• ptr_ : data_handle_type型のメモリブロックへのハンドル（ポインタ）

適格要件

• ElementTypeは抽象クラス型もしくは配列型のいずれでもない完全型であり、かつ
• Extentsはextentsの特殊化であり、かつ
• is_same_v<ElementType, typename AccessorPolicy::element_type>がtrueであること。

LayoutPolicyはレイアウトマッピングポリシー要件を満たし、かつAccessorPolicyはアクセサポリシー要件を満たすこと。

メンバ関数

構築・破棄

要素へのアクセス

多次元配列サイズ

メンバ変数アクセサ

レイアウトマッピング

メンバ型

非メンバ（Hidden friends）関数

推論補助

例

#include <mdspan>
#include <print>

int main()
{
  double arr[] = {1, 2, 3, 4, 5, 6};
  // メモリブロックに対する2x3要素の2次元配列ビューを作成
  using Ext2x3 = std::extents<size_t, 2, 3>;
  std::mdspan<double, Ext2x3> mat{arr};

  // 2次元配列の各要素を表示
  for (size_t i = 0; i < mat.extent(0); ++i) {
    for (size_t j = 0; j < mat.extent(1); ++j) {
      std::print("{} ", mat[i, j]);
    }
    std::println("");
  }
}

出力

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バージョン

言語

• C++23

処理系

• Clang: ??
• GCC: ??
• ICC: ??
• Visual C++: ??

関連項目

• extents
• LayoutMappingPolicy
• AccessorPolicy
• C++23 添字演算子の多次元サポート

参照

• P0009R18 MDSPAN
• P2599R2 index_type & size_type in mdspan
• P2604R0 mdspan: rename pointer and contiguous
• P2613R1 Add the missing empty to mdspan