namespace std::chrono {
class time_zone;
}
概要
time_zone
は、指定した地理領域の全てのタイムゾーン遷移を表すクラスである。
地域間には時差があるため、地球上の各地域に「タイムゾーン (時間帯)」が割り振られ、標準時であるUTCタイムゾーンからの時差が定義される。
このクラスは、UTCタイムゾーンから特定のタイムゾーン、およびその逆の時間変換を行う。
タイムゾーン付きの時間点としてzoned_time
クラスが定義されているため、基本的にはそちらを使うことを推奨する。
メンバ関数
構築/コピー/破棄
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
time_zone(time_zone&&) = default; time_zone() = delete; time_zone(const time_zone&) = delete; |
コンストラクタ | C++20 |
time_zone& operator=(time_zone&&) = default; time_zone& operator=(const time_zone&) = delete; |
代入演算子 | C++20 |
ここに記載されていない追加のコンストラクタは未規定である。ユーザーがこのクラスのオブジェクトを構築することはできず、タイムゾーンデータベースtzdb
が構築を行う。
観測
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
name |
タイムゾーン名を取得する | C++20 |
get_info |
タイムゾーンの情報を取得する | C++20 |
変換
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
to_sys |
ローカル時間からシステム時間に変換する | C++20 |
to_local |
システム時間からローカル時間に変換する | C++20 |
非メンバ関数
比較演算
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
operator== |
等値比較を行う | C++20 |
bool operator!=(const time_zone&, const time_zone&) noexcept; |
非等値比較を行う (== により使用可能) |
C++20 |
operator<=> |
三方比較を行う | C++20 |
bool operator<(const time_zone&, const time_zone&) noexcept; |
左辺が右辺より小さいかを判定する (<=> により使用可能) |
C++20 |
bool operator<=(const time_zone&, const time_zone&) noexcept; |
左辺が右辺以下を判定する (<=> により使用可能) |
C++20 |
bool operator>(const time_zone&, const time_zone&) noexcept; |
左辺が右辺より大きいかを判定する (<=> により使用可能) |
C++20 |
bool operator>=(const time_zone&, const time_zone&) noexcept; |
左辺が右辺以上を判定する (<=> により使用可能) |
C++20 |
例
#include <iostream>
#include <chrono>
namespace chrono = std::chrono;
int main()
{
// システム時間 (UTCタイムゾーン) を日本のローカル時間 (UTC + 9時間) に変換する
auto utc_now = chrono::system_clock::now();
const chrono::time_zone* tz = chrono::locate_zone("Asia/Tokyo");
chrono::local_time jst_now = tz->to_local(utc_now);
std::cout << utc_now << std::endl;
std::cout << jst_now << std::endl;
}
出力例
2019-10-24 11:15:10
2019-10-24 20:15:10
バージョン
言語
- C++20
処理系
- Clang: 9.0 ❌
- GCC: 9.2 ❌
- Visual C++: 2019 Update 3 ❌