namespace std {
float rint(float x); // (1) C++11からC++20まで
double rint(double x); // (2) C++11からC++20まで
long double rint(long double x); // (3) C++11からC++20まで
floating-point-type
rint(floating-point-type x); // (4) C++23
double rint(Integral x); // (5) C++11
float rintf(float x); // (6) C++17
long double rintl(long double x); // (7) C++17
}
概要
引数 x
を現在の丸めモードで整数値に丸めた値を得る。
- (1) :
float
に対するオーバーロード - (2) :
double
に対するオーバーロード - (3) :
long double
に対するオーバーロード - (4) : 浮動小数点数型に対するオーバーロード
- (5) : 整数型に対するオーバーロード (
double
にキャストして計算される) - (6) :
float
型規定 - (7) :
long double
型規定
戻り値
引数 x
を現在の丸めモードで整数値に丸めた値
備考
- 本関数と
nearbyint
は戻り値は同一であるが、本関数は引数x
が戻り値と異なってる場合FE_INEXACT
が発生する可能性があるが、nearbyint
は発生しない点のみ動作が異なる。 - 本関数は、C99 の規格にある
rint
(より正確にはmath.h
ヘッダのrint
、rintf
、rintl
の 3 つ。それぞれ C++ のdouble
、float
、long double
バージョンに相当)と等価である。 - C++11 以降では、処理系が IEC 60559 に準拠している場合(
std::numeric_limits<T>::is_iec559() != false
)、以下の規定が追加される。x = ±0
の場合、±0
を返す。x = ±∞
の場合、±∞
を返す。- 引数
x
が戻り値と異なってる場合、FE_INEXACT
が発生する。
- C99 では、丸めモードの設定時には
#pragma STDC FENV_ACCESS ON
でなければなければならないと記載されているが、C++ には該当する記載を見つけることができなかった。
なお、C99 でもFENV_ACCESS
のデフォルトは処理系定義である。 - 丸めモード
FE_TONEAREST
は単なる四捨五入ではないことに注意。 - C++23では、(1)、(2)、(3)が(4)に統合され、拡張浮動小数点数型を含む浮動小数点数型へのオーバーロードとして定義された
例
#include <cfenv>
#include <cmath>
#include <iostream>
void test(const char* title, int round_mode)
{
std::feclearexcept(FE_ALL_EXCEPT);
std::fesetround(round_mode);
std::cout << title << std::endl;
std::cout << "rint(2.5) = " << std::rint(2.5) << std::endl;
std::cout << "rint(-2.5) = " << std::rint(-2.5) << std::endl;
std::cout << "FE_INEXACT = " << std::boolalpha << (std::fetestexcept(FE_INEXACT) != 0) << std::endl << std::endl;
}
# define test(mode) test(#mode, mode)
int main()
{
# ifdef FE_DOWNWARD
test(FE_DOWNWARD);
# endif
# ifdef FE_TONEAREST
test(FE_TONEAREST);
# endif
# ifdef FE_TOWARDZERO
test(FE_TOWARDZERO);
# endif
# ifdef FE_UPWARD
test(FE_UPWARD);
# endif
}
出力例
FE_DOWNWARD
rint(2.5) = 2
rint(-2.5) = -3
FE_INEXACT = true
FE_TONEAREST
rint(2.5) = 2
rint(-2.5) = -2
FE_INEXACT = true
FE_TOWARDZERO
rint(2.5) = 2
rint(-2.5) = -2
FE_INEXACT = true
FE_UPWARD
rint(2.5) = 3
rint(-2.5) = -2
FE_INEXACT = true
処理系が ISO IEC 60559 に準拠していない場合、全ての丸めモードが利用可能とは限らない。
また、処理系が IEC60559 に準拠していない場合、FE_INEXACT
は false
の可能性がある。
バージョン
言語
- C++11
処理系
- Clang: 3.0 ✅, 3.1 ✅, 3.2 ✅, 3.3 ✅, 3.4 ✅, 3.5 ✅, 3.6 ✅, 3.7 ✅
- GCC: 4.3.6 ✅, 4.4.7 ✅, 4.5.4 ✅, 4.6.4 ✅, 4.7.3 ✅, 4.8.1 ✅, 4.8.2 ✅, 4.9.0 ✅, 4.9.1 ✅, 5.0.0 ✅
- ICC: ??
- Visual C++: 2013 ✅, 2015 ✅
備考
- 本関数は C++11 で追加されたが、Clang(libc++) では C++11 モードでなくても使用可能である。