namespace std {
template <class RealType = double>
class cauchy_distribution;
}
概要
cauchy_distribution
は、連絡確率分布の一種であるコーシー分布(ローレンツ分布とも呼ばれる)を生成するクラスである。
正規分布(normal_distribution
)と違い、平均も分散も定義されない、という特徴を持つ。
以下の確率密度関数に基いて、浮動小数点数の乱数を生成する:
$$ p(x \mid a, b) = \left( \pi b \left(1 + \left( \frac{x-a}{b} \right) ^2 \right) \right) ^{-1}$$
この確率密度関数において、aは分布の最頻値を与える位置母数(location parameter)、bは半値半幅を与える尺度母数(scale parameter)である。
コーシー分布は、以下のような用途に使用できる:
- 正規分布に比べて外れ値(outliers)が非常に多い場合の分布のモデル
- 原子核物理の分野において、放射線の線スペクトルの強度分布などの共鳴現象(この分野では、ブライト・ウィグナー分布とも呼ばれている)
テンプレートパラメータは、以下を意味する:
RealType
: 成功する実数の型。
メンバ関数
構築・リセット
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
(constructor) |
コンストラクタ | C++11 |
~cauchy_distribution() = default; |
デストラクタ | C++11 |
reset |
状態をリセットする | C++11 |
生成
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
operator() |
乱数を生成する | C++11 |
プロパティ
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
a |
分布の位置母数を取得する | C++11 |
b |
分布の尺度母数を取得する | C++11 |
param |
分布のパラメータを取得/設定する | C++11 |
min |
生成し得る値の下限を取得する | C++11 |
max |
生成し得る値の上限を取得する | C++11 |
メンバ型
型 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
result_type |
乱数生成結果の整数型。IntType |
C++11 |
param_type |
分布パラメータの型。未規定。 | C++11 |
非メンバ関数
名前 | 説明 | 対応バージョン |
---|---|---|
operator== |
等値比較 | C++11 |
operator!= |
非等値比較 | C++11 |
operator<< |
ストリームへの出力 | C++11 |
operator>> |
ストリームからの入力 | C++11 |
例
#include <fstream>
#include <random>
int main()
{
std::random_device seed_gen;
std::default_random_engine engine(seed_gen());
// 位置母数0.0、尺度母数1.0で分布させる
std::cauchy_distribution<> dist(0.0, 1.0);
std::ofstream file("cauchy_distribution.tsv");
for (std::size_t n = 0; n < 1000; ++n) {
// コーシー分布で乱数を生成する
double result = dist(engine);
file << result << "\n";
}
}
出力
このプログラムによってある時に得られた結果(cauchy_distribution.tsv)を図示する。
バージョン
言語
- C++11
処理系
- Clang:
- GCC: 4.6.1 ✅
- ICC:
- Visual C++: