namespace std {
template <class T>
T
real(const complex<T>& x); // (1) C++03
template <class T>
constexpr T
real(const complex<T>& x); // (1) C++14
complex<Promoted>
real(Arithmetic x); // (2) C++11
constexpr complex<Promoted>
real(Arithmetic x); // (2) C++26
}
概要
複素数の実部を取得する。
- (1) :
complex<T>
に対するオーバーロード - (2) : 算術型に対する追加のオーバーロード
(2)は、以下のように振る舞う:
- 実引数の型が浮動小数点数型
T
の場合、complex<T>
にキャストされているかのように振る舞う - そうでなくて、実引数が整数型の場合、
complex<double>
にキャストされているかのように振る舞う (C++23)
また、これらの追加のオーバーロードが関数テンプレートなのか否か、あるいは、引数が参照型なのか否かなどについては、規格では何も言及されていない。
戻り値
引数に指定した複素数 x
の実部(x.real()
)
備考
- 同名のメンバ関数
real
も存在する。 - C++14 から
constexpr
関数になっている。
例
#include <iostream>
#include <complex>
int main()
{
std::complex<double> c(1.0, 2.0);
double result = std::real(c);
std::cout << c << ", real part = " << result << std::endl;
}
出力
(1,2), real part = 1
バージョン
言語
- C++98(追加のオーバーロードは C++11 から)
処理系
- Clang: 3.0 ✅, 3.1 ✅, 3.2 ✅, 3.3 ✅, 3.4(追加のオーバーロード含む) ✅
- GCC: 4.3.6 ✅, 4.4.7 ✅, 4.5.4 ✅, 4.6.4 ✅, 4.7.3 ✅, 4.8.1 ✅, 4.8.2 ✅, 4.9.0(追加のオーバーロード以外) ✅
- GCC: 4.3.6 ✅, 4.4.7 ✅, 4.5.4 ✅, 4.6.4 ✅, 4.7.3 ✅, 4.8.1 ✅, 4.8.2 ✅, 4.9.0(追加のオーバーロード含む) ✅
- ICC: ??
- Visual C++: ??
備考
- libc++(Clang)は C++11 モード以降でなくても追加のオーバーロードを使用可能だが、constexpr になるのは C++14 モードだけである。
一方、libstdc++(GCC)は C++11 モード以降でないと追加のオーバーロードは使用不可能だが、C++11 モードでも追加のオーバーロード以外は constexpr である。
なお、libstdc++ では追加のオーバーロードが constexpr になっていないが、これはバグであるものと思われる。
関連項目
名前 | 説明 |
---|---|
real |
実部を取得、あるいは、設定する。(メンバ関数) |
imag |
虚部を取得、あるいは、設定する。(メンバ関数) |
imag |
虚部を取得する。 |
abs |
複素数の絶対値を得る。 |
arg |
複素数の偏角を得る。 |
norm |
複素数体のノルムを得る。 |
conj |
共役複素数を得る。 |
proj |
リーマン球面への射影を得る。 |
polar |
指定した絶対値と偏角の複素数値を得る。 |
参照
- N3302 Constexpr Library Additions: complex, v2
- P1467R9 Extended floating-point types and standard names
- C++23で拡張浮動小数点数型への対応が行われ、整数型も考慮されるようになった
- P1383R2 More constexpr for
<cmath>
and<complex>
- C++26で(2)が
constexpr
対応した
- C++26で(2)が