template <class... Args>
pair<iterator, bool>
try_emplace(const key_type& k,
Args&&... args); // (1) C++23
template <class... Args>
pair<iterator, bool>
try_emplace(key_type&& k,
Args&&... args); // (2) C++23
template <class... Args>
iterator
try_emplace(const_iterator hint,
const key_type& k,
Args&&... args); // (3) C++23
template <class... Args>
iterator
try_emplace(const_iterator hint,
key_type&& k,
Args&&... args); // (4) C++23
template <class K, class... Args>
pair<iterator, bool>
try_emplace(K&& k
Args&&... args); // (5) C++23
template <class K, class... Args>
iterator
try_emplace(const_iterator hint,
K&& k,
Args&&... args); // (6) C++23
概要
指定されたキーが存在しない場合のみ要素を直接構築で挿入する。
引数 k
と等価のキーを持つ要素が存在しない場合、コンテナに新しい要素を挿入する。要素は引数からコンテナ内に直接構築されるため、構築されたオブジェクトはコピーもムーブもされない。
なお、本メンバ関数は emplace
や emplace_hint
等と異なり、引数 k
と等価のキーを持つ要素が既に存在する場合には、k
や args
がムーブされてしまうことはない。
引数 hint
は、k
を検索する際のヒントに使用される。
- (1) : 指定されたキーが存在しない場合に、要素を直接構築で挿入する
- (2) : 指定された一時オブジェクトのキーが存在しない場合に、要素を直接構築で挿入する
- (3) : キーを検索するヒントを指定し、指定されたキーが存在しない場合に、要素を直接構築で挿入する
- (4) : キーを検索するヒントを指定し、指定された一時オブジェクトのキーが存在しない場合に、要素を直接構築で挿入する
- (5) :
key_type
と比較可能なキーが指定され、対応する存在しない場合に、要素を直接構築で挿入する - (6) : keyを研削するヒントと
key_type
と比較可能なキーが指定され、対応する存在しない場合に、要素を直接構築で挿入する
テンプレートパラメータ制約
is_constructible_v<mapped_type, Args...>
がtrue
であること- (5), (6) :
Compare::is_transparent
が有効な式であることis_constructible_v<key_type, K>
がtrue
であること
- (5) :
is_convertible_v<K&&, const_iterator>
とis_convertible_v<K&&, iterator>
がどちらもfalse
であること
なお、規格に記載はないが、hint
は emplace_hint
と同様、コンテナの有効な読み取り専用イテレータである必要があるものと思われる。
事前条件
効果
k
と同値のキーを持つ要素を持っている場合、何もしない(引数への副作用もない)。そうでなければ、以下と等価:
-
(1), (2), (3), (4) :
auto key_it = ranges::upper_bound(c.keys, k, compare); auto value_it = c.values.begin() + distance(c.keys.begin(), key_it); c.keys.insert(key_it, std::forward<decltype(k)>(k)); c.values.emplace(value_it, std::forward<Args>(args)...);
-
(5), (6) :
auto key_it = ranges::upper_bound(c.keys, k, compare); auto value_it = c.values.begin() + distance(c.keys.begin(), key_it); c.keys.emplace(key_it, std::forward<K>(k)); c.values.emplace(value_it, std::forward<Args>(args)...);
戻り値
- (1), (2), (5) : イテレータと
bool
値のpair
を返す。- 挿入された場合には、
first
に挿入された要素へのイテレータ、second
にtrue
が設定される。 - 挿入されなかった場合には、
first
にk
と等価のキーを持つ既存の要素へのイテレータ、second
にfalse
が設定される。
- 挿入された場合には、
- (3), (4), (6) :
- 挿入された場合には、挿入された要素へのイテレータを返す。
- 挿入されなかった場合には、
k
と等価のキーを持つ既存の要素へのイテレータを返す。
計算量
- (1), (2), (5) :
emplace
と同じ - (3), (4), (6) :
emplace_hint
と同じ
備考
- 概要に記載されているように、本メンバ関数は指定されたキーと等価の要素が既に存在する場合には、引数に副作用が発生しない。
一方、emplace
、emplace_hint
、insert
にはそのような規定は無く、挿入がされなかった場合でも引数に副作用(引数からのムーブ)が発生してしまう可能性があるため、注意が必要である。
例
#include <iostream>
#include <flat_map>
#include <memory>
#include <utility>
int main()
{
std::flat_map<int, std::unique_ptr<int>> fm;
auto u1 = std::make_unique<int>(114);
auto [it1, b1] = fm.try_emplace(42, std::move(u1));
std::cout << std::boolalpha << (u1.get() == nullptr) << ", " << *it1->second << ", " << b1 << '\n';
auto u2 = std::make_unique<int>(514);
auto [it2, b2] = fm.try_emplace(42, std::move(u2));
std::cout << std::boolalpha << (u2.get() == nullptr) << ", " << *it2->second << ", " << b2 << '\n';
}
出力
true, 114, true
false, 114, false
バージョン
言語
- C++23
処理系
- Clang: ??
- GCC: ??
- Visual C++: ??
関連項目
名前 | 説明 |
---|---|
flat_map::insert |
要素を挿入する |
flat_map::insert_range |
Rangeを挿入する |
flat_map::insert_or_assign |
要素を挿入、あるいは代入する |
flat_map::emplace |
要素を直接構築する |
flat_map::emplace_hint |
ヒントを使って要素を直接構築する |