std::linear_congruential_engine(C++11)

namespace std {
  template <class UIntType, UIntType a, UIntType c, UIntType m>
  class linear_congruential_engine;

  using minstd_rand0 = …;
  using minstd_rand  = …;
}

概要

linear_congruential_engineクラスは、線形合同法による擬似乱数生成エンジンである。
前の擬似乱数と定数a、c、mを保持し、以下の漸化式により次の擬似乱数を生成する。

$$x_{n+1}= (a \times x_n + c) \bmod m$$

テンプレートパラメータの意味は以下の通り:

a: 乗数。m が非 0 の場合 a < m でなければならない。
c: 増分。m が非 0 の場合 c < m でなければならない。
m: 法。0 の場合 std::numeric_limits<result_type>::max()。

線形合同法は、以下の特徴を持つ：

省メモリで高速
周期が短い(2³¹-1)

省メモリで高速という点から、多くの言語で、標準の乱数生成法として使用されている。
C言語から引き継いだ標準ライブラリ関数std::rand()の乱数生成法は実装定義だが、多くの実装で線形合同法が使用されている。

しかし、メモリ使用量がそれほど問題にならないのであれば、メルセンヌ・ツイスター(mt19937)の使用を検討した方がいいだろう。

標準にはないが、メモリ使用量が少なく、高速で、周期も長い(メルセンヌ・ツイスターほどではない)、xorshiftという乱数生成法も存在する。

メンバ関数

構築・シード

名前	説明	対応バージョン
`(constructor)`	コンストラクタ	C++11
`~linear_congruential_engine() = default;`	デストラクタ	C++11
`seed`	シードを設定する	C++11

生成

名前	説明	対応バージョン
`operator()`	擬似乱数を生成する	C++11
`discard`	指定した回数だけ擬似乱数を生成し、内部状態を進める	C++11

静的メンバ関数

エンジンの特性

名前	説明	対応バージョン
`min`	生成し得る値の最小値を取得する	C++11
`max`	生成し得る値の最大値を取得する	C++11

メンバ型

型	説明	対応バージョン
`result_type`	擬似乱数生成結果の符号なし整数型 `UIntType`。	C++11

メンバ定数

定数	説明	対応バージョン
`static constexpr result_type multiplier`	乗数a。テンプレートパラメータ`a`。	C++11
`static constexpr result_type increment`	増分c。状態シーケンスの要素数。テンプレートパラメータ`c`。	C++11
`static constexpr result_type modulus`	法m。テンプレートパラメータ`m`。	C++11
`static constexpr result_type default_seed`	デフォルトのシード値。`1u`	C++11

非メンバ関数

名前	説明	対応バージョン
`operator==`	等値比較	C++11
`operator!=`	非等値比較	C++11
`operator<<`	ストリームへの出力	C++11
`operator>>`	ストリームからの入力	C++11

例

#include <iostream>
#include <random>

int main()
{
  std::random_device seed_gen;

  // linear_congruential_engineのパラメータ設定済み別名であるminstd_randを使用する。
  // ランダムなシードを使用して初期化
  std::minstd_rand engine(seed_gen());

  for (int i = 0; i < 10; ++i) {
    // 乱数を生成
    std::uint32_t result = engine();

    std::cout << result << std::endl;
  }
}

出力