namespace std {
template <class T>
complex<T> atan(const complex<T>& x);
}
概要
複素数値の逆正接(アークタンジェント:arc tangent)を得る。
戻り値
引数 x
の逆正接。本関数の値域は、虚軸方向は全域で、実軸方向は [-π/2, +π/2]
の区間である。
備考
- 本関数は虚軸の区間
[-
i, +
i]
の外側を分岐截断とする(i は虚数単位)。 - 本関数は、C99 の規格にある
catan
(より正確にはcomplex.h
ヘッダのcatan
、catanf
、catanl
の 3 つ。それぞれ C++ のatan<double>
、atan<float>
、atan<long double>
に相当)と等価である。
C99 では、処理系が ISO IEC 60559(IEEE 754 と同一)に準拠している場合、catan(x) = -
icatanh(
ix)
と規定されている(i は虚数単位)。 - 処理系が ISO IEC 60559 に準拠しているかどうかは、C99 の場合はマクロ
__STDC_IEC_559_COMPLEX__
が1
に定義されている事で判別可能であるが、C++ の規格書には該当する記載を見つける事ができなかった。 -
逆正接の算出については、一部の算術型、および、
valarray
クラステンプレートに対しても、他のヘッダで定義されている。引数の型 関数 ヘッダ 備考 float
atan
cmath
double
atan
cmath
long double
atan
cmath
任意の整数型 atan
cmath
C++11 から valarray<T>
atan
valarray
例
#include <iostream>
#include <complex>
int main()
{
std::complex<double> c(1.0, 2.0);
std::complex<double> result = std::atan(c);
std::cout << "atan( " << c << " ) = " << result << std::endl;
}
出力
atan( (1,2) ) = (1.33897,0.402359)
バージョン
言語
- C++11
処理系
- Clang: 3.0, 3.1, 3.2, 3.3, 3.4
- GCC: 4.3.6, 4.4.7, 4.5.4, 4.6.4, 4.7.3, 4.8.1, 4.8.2, 4.9.0
- ICC: ??
- Visual C++: 2012, 2013, 2015, 2017
備考
- libstdc++ では(規格通りに)C++11 以降のモードでなければ本関数は使用できないが、libc++ では C++98 モードでも使用することができる。(上記の Clang が C++11 モードになっていないのはそのため)
関連項目
名前 | 説明 |
---|---|
acos |
複素数の逆余弦を求める。 |
asin |
複素数の逆正弦を求める。 |
acosh |
複素数の逆双曲線余弦を求める。 |
asinh |
複素数の逆双曲線正弦を求める。 |
atanh |
複素数の逆双曲線正接を求める。 |
cos |
複素数の余弦を求める。 |
cosh |
複素数の双曲線余弦を求める。 |
exp |
自然対数の底 e の累乗(複素数)を求める。 |
log |
複素数の自然対数を求める。 |
log10 |
複素数の常用対数を求める。 |
pow |
複素数の累乗を求める。 |
sin |
複素数の正弦を求める。 |
sinh |
複素数の双曲線正弦を求める。 |
sqrt |
複素数の平方根を求める。 |
tan |
複素数の正接を求める。 |
tanh |
複素数の双曲線正接を求める。 |
atan |
実数の逆正接を求める。 |