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    function
    <cmath>

    std::atan2

    namespace std {
      float atan2(float y, float x);          // (1) C++03からC++20まで
      double atan2(double y, double x);       // (2) C++03からC++20まで
      long double
        atan2(long double y, long double x);  // (3) C++03からC++20まで
    
      floating-point-type
        atan2(floating-point-type y,
              floating-point-type x);         // (4) C++23
      constexpr floating-point-type
        atan2(floating-point-type y,
              floating-point-type x);         // (4) C++26
    
      Promoted
        atan2(Arithmetic1 y,
              Arithmetic2 x);                 // (5) C++11
      constexpr Promoted
        atan2(Arithmetic1 y,
              Arithmetic2 x);                 // (5) C++26
    
      float
        atan2f(float y, float x);             // (6) C++17
      constexpr float
        atan2f(float y, float x);             // (6) C++26
    
      long double
        atan2l(long double y, long double x); // (7) C++17
      constexpr long double
        atan2l(long double y, long double x); // (7) C++26
    }
    

    概要

    算術型の逆正接(アークタンジェント)を対辺と隣辺から求める。

    このような三角形があった場合、辺yの長さと辺xの長さをatan2()関数に与えることで、角度θがラジアン単位として求まる。

    • (1) : floatに対するオーバーロード
    • (2) : doubleに対するオーバーロード
    • (3) : long doubleに対するオーバーロード
    • (4) : 浮動小数点数型に対するオーバーロード
    • (5) : 算術型に対するオーバーロード (大きい精度にキャストして計算される。整数はdoubleで計算される)
    • (6) : float型規定
    • (7) : long double型規定

    戻り値

    y / x の逆正接を [-π, π] の範囲で返す。(単位はラジアン)

    象限は引数の符号から適切に求められる。

    yxの両方が値0である場合に定義域エラーとなる可能性がある。定義域エラーが発生した場合、戻り値は処理系定義である。(備考参照)

    備考

    • f(y,x)=Arctan yx

      引数の順番に注意されたし。

    • 定義域エラーが発生した場合の挙動については、<cmath> を参照。

    • C++11 以降では、処理系が IEC 60559 に準拠している場合(std::numeric_limits<T>::is_iec559() != false)、以下の規定が追加される。(複号同順)

      • y = ±0x < 0 または x = -0 の場合、戻り値は ±π となる。
      • y = ±0x > 0 または x = +0 の場合、戻り値は ±0 となる。
      • y > 0x = ±0 の場合、戻り値は +π/2 となる。
      • y < 0x = ±0 の場合、戻り値は -π/2 となる。
      • 0 < z < +∞ とすると、y = ±zx = -∞ の場合、戻り値は ±π となる。
      • 0 < z < +∞ とすると、y = ±zx = +∞ の場合、戻り値は ±0 となる。
      • y = ±∞x が有限の値の場合、戻り値は ±π/2 となる。
      • y = ±∞x = -∞ の場合、戻り値は ±3π/4 となる。
      • y = ±∞x = +∞ の場合、戻り値は ±π/4 となる。

      特に、yx の両方がゼロの場合に定義域エラー(FE_INVALID(無効演算浮動小数点例外))となったり、y が非ゼロで x がゼロの場合に極エラー(FE_DIVBYZERO(ゼロ除算浮動小数点例外))となったりはしない事に注意。 - C++23では、(1)、(2)、(3)が(4)に統合され、拡張浮動小数点数型を含む浮動小数点数型へのオーバーロードとして定義された

    #include <cmath>
    #include <iostream>
    
    int main() {
      std::cout << std::fixed;
      std::cout << "atan2(0.0, 1.0)   = " << std::atan2(0.0, 1.0) << std::endl;
      std::cout << "atan2(1.0, 1.0)   = " << std::atan2(1.0, 1.0) << std::endl;
      std::cout << "atan2(1.0, 0.0)   = " << std::atan2(1.0, 0.0) << std::endl;
      std::cout << "atan2(1.0, -1.0)  = " << std::atan2(1.0, -1.0) << std::endl;
      std::cout << "atan2(0.0, -1.0)  = " << std::atan2(0.0, -1.0) << std::endl;
      std::cout << "atan2(-1.0, -1.0) = " << std::atan2(-1.0, -1.0) << std::endl;
      std::cout << "atan2(-1.0, 0.0)  = " << std::atan2(-1.0, 0.0) << std::endl;
      std::cout << "atan2(-1.0, 1.0)  = " << std::atan2(-1.0, 1.0) << std::endl;
    }
    

    出力

    atan2(0.0, 1.0)   = 0.000000
    atan2(1.0, 1.0)   = 0.785398
    atan2(1.0, 0.0)   = 1.570796
    atan2(1.0, -1.0)  = 2.356194
    atan2(0.0, -1.0)  = 3.141593
    atan2(-1.0, -1.0) = -2.356194
    atan2(-1.0, 0.0)  = -1.570796
    atan2(-1.0, 1.0)  = -0.785398
    

    バージョン

    言語

    • C++03

    処理系

    • Clang: 1.9 , 2.9 , 3.1
    • GCC: 3.4.6 , 4.2.4 , 4.3.5 , 4.4.5 , 4.5.1 , 4.5.2 , 4.6.1 , 4.7.0
    • ICC: 10.1 , 11.0 , 11.1 , 12.0
    • Visual C++: 2003 , 2005 , 2008 , 2010

    備考

    特定の環境では、早期に constexpr 対応されている場合がある:

    • GCC 4.6.1 以上

    実装例

    [-π/2, π/2] の範囲を返す atan があれば、引数の符号に応じて以下のように変換することで求められる。

    Arctan yx={Arctan yxfor0xArctan yx+πforx<0,0yArctan yxπforx<0,y<0

    参照