namespace std {
float
pow(float x,
float y); // (1) C++03からC++20まで
double
pow(double x,
double y); // (2) C++03からC++20まで
long double
pow(long double x,
long double y); // (3) C++03からC++20まで
float
pow(float x,
int y); // (4) C++03まで
double
pow(double x,
int y); // (5) C++03まで
long double
pow(long double x,
int y); // (6) C++03まで
floating-point-type
pow(floating-point-type x,
floating-point-type y); // (7) C++23
constexpr floating-point-type
pow(floating-point-type x,
floating-point-type y); // (7) C++26
Promoted
pow(Arithmetic1 x,
Arithmetic2 y); // (8) C++11
constexpr Promoted
pow(Arithmetic1 x,
Arithmetic2 y); // (8) C++26
float
powf(float x,
float y); // (9) C++17
constexpr float
powf(float x,
float y); // (9) C++26
long double
powl(long double x,
long double y); // (10) C++17
constexpr long double
powl(long double x,
long double y); // (10) C++26
}
概要
x
の y
乗を求める。
- (1) :
float
に対するオーバーロード - (2) :
double
に対するオーバーロード - (3) :
long double
に対するオーバーロード - (4) :
float
に対するオーバーロードで、int
型のy
をとる - (5) :
double
に対するオーバーロードで、int
型のy
をとる - (6) :
long double
に対するオーバーロードで、int
型のy
をとる - (7) : 浮動小数点数型に対するオーバーロード
- (8) : 算術型に対するオーバーロード (大きい精度にキャストして計算される。整数は
double
で計算される) - (9) :
float
型規定 - (10) :
long double
型規定
戻り値
x
を y
乗した値を返す。
x
が負の有限値で y
が有限値でかつ整数ではない場合には、定義域エラーが発生する。オーバーフローエラー、アンダーフローエラーが発生する可能性がある。x
と y
が両方ともゼロの場合には、定義域エラーが発生する可能性がある。x
がゼロで y
がゼロ未満の場合には、定義域エラーか極エラーが発生する可能性がある。
備考
- $$ f(x, y) = x^y $$
- 定義域エラー、極エラー、オーバーフローエラー、アンダーフローエラーが発生した場合の挙動については、
<cmath>
を参照。 - C++11 以降では、処理系が IEC 60559 に準拠している場合(
std::numeric_limits<T>::is_iec559() != false
)、以下の規定が追加される。(複号同順)x = ±0
でy
が負の奇数の場合、戻り値は±∞
となり、FE_DIVBYZERO
(ゼロ除算浮動小数点例外)が発生する。x = ±0
でy
が有限でかつ負の奇数ではない場合、戻り値は+∞
となり、FE_DIVBYZERO
(ゼロ除算浮動小数点例外)が発生する。x = ±0
でy = -∞
の場合、戻り値は+∞
となり、FE_DIVBYZERO
(ゼロ除算浮動小数点例外)が発生する可能性がある。x = ±0
でy
が正の奇数の場合、戻り値は±0
となる。x = ±0
でy
が正でかつ奇数ではない場合、戻り値は+0
となる。x = -1
でy = ±∞
の場合、戻り値は1
となる。x = 1
の場合、y
にかかわらず戻り値は1
となる(y
が quiet NaN の場合を含む)。y = ±0
の場合、x
にかかわらず戻り値は1
となる(x
が quiet NaN の場合を含む)。|x| < 1
でy = -∞
の場合、戻り値は+∞
となる。|x| > 1
でy = -∞
の場合、戻り値は+0
となる。|x| < 1
でy = +∞
の場合、戻り値は+0
となる。|x| > 1
でy = +∞
の場合、戻り値は+∞
となる。x = -∞
でy
が負の奇数の場合、戻り値は-0
となる。x = -∞
でy
が負でかつ奇数ではない場合、戻り値は+0
となる。x = -∞
でy
が正の奇数の場合、戻り値は-∞
となる。x = -∞
でy
が正でかつ奇数ではない場合、戻り値は+∞
となる。x = +∞
でy < 0
の場合、戻り値は+0
となる。x = +∞
でy > 0
の場合、戻り値は+∞
となる。
- C++23では、(1)、(2)、(3)が(7)に統合され、拡張浮動小数点数型を含む浮動小数点数型へのオーバーロードとして定義された
例
#include <cmath>
#include <limits>
#include <iostream>
int main() {
std::cout << std::fixed;
std::cout << "pow(2.0, +∞) = "
<< std::pow(2.0, std::numeric_limits<double>::infinity())
<< std::endl;
std::cout << "pow(2.0, 2.0) = " << std::pow(2.0, 2.0) << std::endl;
std::cout << "pow(2.0, 1.0) = " << std::pow(2.0, 1.0) << std::endl;
std::cout << "pow(2.0, 0.5) = " << std::pow(2.0, 0.5) << std::endl;
std::cout << "pow(2.0, 0.0) = " << std::pow(2.0, 0.0) << std::endl;
std::cout << "pow(2.0, -0.5) = " << std::pow(2.0, -0.5) << std::endl;
std::cout << "pow(2.0, -1.0) = " << std::pow(2.0, -1.0) << std::endl;
std::cout << "pow(2.0, -2.0) = " << std::pow(2.0, -2.0) << std::endl;
std::cout << "pow(2.0, -∞) = "
<< std::pow(2.0, -std::numeric_limits<double>::infinity())
<< std::endl;
}
出力例
pow(2.0, +∞) = inf
pow(2.0, 2.0) = 4.000000
pow(2.0, 1.0) = 2.000000
pow(2.0, 0.5) = 1.414214
pow(2.0, 0.0) = 1.000000
pow(2.0, -0.5) = 0.707107
pow(2.0, -1.0) = 0.500000
pow(2.0, -2.0) = 0.250000
pow(2.0, -∞) = 0.000000
バージョン
言語
- C++03
処理系
- Clang: 1.9 ✅, 2.9 ✅, 3.1 ✅
- GCC: 3.4.6 ✅, 4.2.4 ✅, 4.3.5 ✅, 4.4.5 ✅, 4.5.1 ✅, 4.5.2 ✅, 4.6.1 ✅, 4.7.0 ✅
- ICC: 10.1 ✅, 11.0 ✅, 11.1 ✅, 12.0 ✅
- Visual C++: 2003 ✅, 2005 ✅, 2008 ✅, 2010 ✅
備考
特定の環境では、早期に constexpr
対応されている場合がある:
- GCC 4.6.1 以上
実装例
exp
および log
があれば、以下のように変換することで求められる。
$$ x^y = e^{y \log_e x} $$
ただし x
が負数かつ y
が整数に等しい場合などについては、別に計算する必要がある。